お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンター 佐藤典子氏

2009年1月5日

文部科学省「社会人の学び直しプログラム」に採択された「理科教育支援者養成プログラム」に従事しておられる佐藤典子先生は、子どもの頃から理科が大好きだったとおっしゃいます。理科の面白さとそれを子ども達に伝える重要性について、佐藤先生にお話をお聞きしました。
 

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佐藤 典子 氏
お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンター 
アソシエイトフェロー(講師兼務)
私立学校で理科教育に携わる一方、社会教育施設で、消費生活講座、食育体験講座等の講師を実践してきた。
現在は、お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンター所属。国立科学博物館「体験的学習プログラムの体系化に関する研究」プログラム開発分科会委員。
著書:「N.SATOの生活科学実験講座」 ①食と健康、②食生活と食文化

–子どもの頃に理科が好きになった「きっかけ」は何だったのでしょう?

小中学校時代に出会った理科の先生が大好きだったからだと思います。先生方のお話はとても面白く、身振り手振りを交え、時にはつばを飛ばしながら(笑)、いつも熱く語ってくれました。
理科室にある実験器具や標本を見て疑問がわくと、当時はインターネットで簡単に検索できる時代ではなかったので、先生に聞いて図書室で何冊も本を借りました。ワクワクして読み進めると「謎」が解けていき「知らないことを知る喜び」を実感して、ますます理科が楽しくなりました。
観察や実験がたくさん記憶に残っています。中でも中学1年の時、上皿天秤の皿を壊してしまったのですが、そのとき「けがはなかったか?失敗は仕方ないが、なぜそうなったかを科学的に反省しなさい」という先生の言葉に救われたことを今でも鮮明に覚えています。私が理科を好きになったのは、真理の探究という学問的な魅力もありますが、やはり先生の人間的な魅力も大きかったと思います。

–今の子ども達の理科への関心をどのようにお感じでしょうか?

中学1年くらいまでは多くの児童・生徒が理科の授業を「楽しい」「好き」と答えてくれますが、中学2年の2学期から「むずかしい」「苦手」と答える生徒が増えるように感じます。中1までの観察中心の授業は肉眼や光学顕微鏡で見ることの出来る世界ですが、中2からの原子・分子の世界は目に見えず実感しづらいため、急に苦手になるようです。また、「これは何の役に立つのか?」と中学生からよく質問されます。生活との関連や将来の職業とのつながりは、理科を学ぶ動機づけとして大切だと痛感しています。

–理科の授業では何が大切だと思われますか?

児童・生徒に「早く答えを教えて」とせがまれることがありますが、理科では「答えの多様性」を教えることが大切だと思います。私は「答え」には次の3通りあると考えています。
1. 答えが「ひとつ」の場合:法則化・定理化されている。(導き方は幾通りもあることがある。)
2. 答えが「ひとつとは限らない」場合:多角的に見るとさまざまな答えが出てくることがある。
3. 答えが「未知=わからない」場合:現時点において解明されていない。
正解がひとつではないことの面白さを教え、「未知の謎を解き明かすのはみんなの世代だよ」と夢を与えることが、学ぶ意欲につながると思います。
先生方には、こういった理科の魅力とともに、科学や技術が生活の中でどのように役立っているのかという「理科を学ぶ意味」を子ども達に伝えて欲しいと思っています。

–当プロジェクトへのメッセージをお願いいたします。

企業の研究者や技術者など、その道の達人が、自分の経験や思いを直接子ども達に伝える機会を得るのは、意義のあることと思います。特にその道のプロにしかできない熱意あふれる話は説得力があり、きっと子ども達に感動を与えることでしょう。

■お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンター   http://www.cf.ocha.ac.jp/SEC/
不思議?発見!感動*を合言葉に、「理科教育支援者養成プログラム」のほか、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」「巡回型理科実技研修」などのプロジェクトが同時進行している。